ISO29990 国内で関心が高まった背景
厚生労働省が2010年9月のISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス-サービス事業者向け基本的要求事項)の発行を受け、国内の民間教育訓練機関が提供する職業訓練サービスに焦点を当て、カリキュラム、能力評価、講師等の職業訓練に関する品質の向上を図るべく、ガイドラインを開発しました。
民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(厚生労働省)
ISO29990(学習サービスマネジメントシステム)とは
学習サービス事業者が専門的な学習サービスの品質を向上させるためのモデルを提供する事を目的とし2010年9月1日にISO29990が発行されました。職業訓練機関、語学学校、学習塾、予備校、資格取得スクール、企業研修事業者が該当し、本規格は学習サービス事業者を対象とした基本的要求事項を規定したものであり、学習サービスの質の向上を図るためのツールとして活用することが可能です。
- 規格
- ISO 29990:2010
「非公式教育・訓練における学習サービス – サービス事業者向け基本要求事項」
Learning services for non-formal education and training – Basic requirements for service providers - 適用範囲
- 非公式教育・訓練における学習サービス事業者向け基本的要求事項
- 規格目的
- 非公式教育・訓練分野の企画、開発、提供に関し、学習サービスを提供する事業者と顧客に対して、質の高い専門的な業務及びパフォーマンスのための基本的要求事項を定めた国際規格で、利用者に対して提供する学習サービスの明確化と事業者としての基盤整備を求める。
公式教育 と 非公式教育
- 非公式教育
- 組織化された教育活動で、確立された社会に認知された公式な初等、中等又は高等教育制度以外のもの。
(例:学習塾、職業訓練、語学教室)
逆に
- 公式教育
- 組織化された教育活動で、確立された社会に認知された公式な初等、中等又は高等教育制度
(例:小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校)
ISO29990 取得のメリット
- 国際規格の要求事項に基づくマネジメントシステムを構築することにより、学習サービスの質の向上が行えます。
- 学習サービスを利用する顧客からの信用、信頼が工場します。
- マネジメントシステムの導入により、組織の継続的改善が進みます。
ISO29990の要求事項
学習サービスについての要求事項
3.1 学習ニーズの明確化
利害関係者のニーズの把握、及び学習プロセスの問題点を分析するために必要な情報の把握。
3.2 学習サービスの設計
目的、適用範囲を明確にしたカリキュラムのプランニング。
3.3 学習サービスの実施
学習内容、評価基準、目的などの情報提供。学習環境の確保。
3.4 学習サービス提供のモニタリング
学習効果など、学習者からのフィードバック。
3.5 学習サービス事業者によって行われる評価
評価目標と範囲の明確化。学習達成度の測定。
学習サービス事業者のマネジメントについての要求事項
4.1 一般マネジメントシステムの要求事項
管理体制の開発、維持、透明性の確保。
4.2 戦略及びビジネスマネジメント
戦略及び経営目標、経営組織、品質方針などを含んだ事業計画の作成。
4.3 マネジメントレビュー
マネジメントシステムを定期的に見直す手順の作成。
4.4 予防処置及び是正処置
不適合の特定と対処に関する手順の作成。潜在的な不適合の要因を排除するための予防処置の確保。
4.5 財務管理及びリスク管理
適切な財務管理システムの構築
4.6 人事管理
スタッフに必要とされる能力・資質の保持・維持の保証。
4.7 コミュニケーションマネジメント
スタッフ、協力者間におけるコミュニケーション機会の提供。
4.8 人的・物的資源の割り当て
人的・物的資源の提供と維持。
4.9 内部監査
内部監査の手順の確立。
4.10 利害関係者からのフィードバック
利害関係者からフィードバックを受ける手順の確立。